桃ちゃんの食べてるもの 
〜 ペレットとスプーン一杯の幸せ 〜 



「ペレットとはなんじゃい?」
時々ですが、そういうメールをいただくことがあります。
鳥にとってベストの食べ物とは何でしょう。 それは、私にはわかりません。
ペレットについては、人によって賛否両論好き嫌いがあるようで、 今まで詳しく書くことにためらいがありました。
たとえペレットが栄養的に優れていたとしても、 鳥の好むもの(味のついた人間の食べ物などは論外として)、 或いは自然のものを食べさせてやりたい、 そういう考えもあって当然でしょうし、 飼い主さんの責任の下で良かれと考える餌で育てる、 それで良いのじゃないかなと思います。
それでも最近では、ペレットも随分と認知度が高くなってきたようですね。
これまでは都会の百貨店や大きなペットショップぐらいでしか見かけなかったのが、 ようやくと言いますか、ついにと言いましょうか、 我が家の近所のお店でも購入出来るようになりましたし・・・。 (今迄は電話で注文して宅配してもらってました)
ということで、 桃が日常どんなものを食べているかをそろそろご紹介してみることにしました。
他意はありませんので、「ふ〜ん、こんな育て方もあるんだぁ」 くらいの軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいです。


自然界における野生のインコ達は、 多種類にわたる植物の葉っぱや種子穀物、果実、 その他昆虫や土などを食していると言われています。 時々は、動物の死骸なんかも食べているというから驚きです。

「一般に売られている、アワ、ヒエ、キビ、 カナリーシードなどの穀物餌は殆どが炭水化物と脂肪です。 もしこれを主食とするならば、様々な食物で栄養を補う必要があるのです」

桃のでかい顔 ’96年、桃が初めて健康診断を受けた時、獣医さんからこう教わりました。
手渡された副食とするもののリストを見ると、こりゃ大変。
コマツナ、カボチャ、ブロッコリー、キャベツ、ニンジン、エダマメ、 ソラマメといった野菜から始まって、煮干しにチーズ、固ゆで玉子、ヨーグルト、 牛生肉、それからそれから、げっ、クモやミルワームのような虫もぉ〜!? でもこれは食べないコには与えなくてもかまわないそうなので、ホッ。
私は即座に不安になりました。 こんなにきめ細やかに桃の栄養に気を配れるだろうかと。
(いや無理だ。自分だって偏った栄養でこんなになってるというのに・・・)
加えて桃は、何故だか葉っぱ類には喧嘩を売っちゃうし、 見慣れぬものを出されると途端に細くなって 警戒音を発しながら後ずさりをするという超臆病者で、 食べてくれるものといったらブロッコリーとニンジンくらいなのです。 という訳で、私達は獣医さんに薦められた、 オウムやインコの研究では日本と比べて格段の差があるアメリカで開発された、 R社のペレットに変える決心をしました。



鳥はこうやって育てるもの。
そういう昔から長く根づいた “常識”と思われてきたものを変えるのは、 なかなか困難なことのように思います。
自称、保守的現状維持派の私もそうでした。
しかし獣医さんのお話には説得力がありました。
考えてみれば、犬や猫は既に栄養の研究がされ尽くされ、 ドッグフード、キャットフードといったものが広く世間に認知されているのです。
「日本の飼い鳥に関する知識、認識は遅れている」
と獣医さんが言われる所以のひとつにはこういったこともあるのでしょう。
色々と思いを巡らせているうちに、 私の中に若干あった抵抗感も薄らいでいきました。
なーんて実を言うと、ペレットに替えるということイコール “楽”というのが本音だったのですけれども・・・。(^_^ゞ

ペレットの写真
ペレットの主な原料は、コーン、小麦、ピーナッツミール、大豆タンパク質。
 『雛鳥用パウダータイプ』 『繁殖時の鳥用ブリーダータイプ』  というように与える鳥のタイプ別に分かれており、 タンパク質、脂肪分、繊維質等の成分比率が、 それぞれに少しずつ異なっています。
桃に与えるのは、『繁殖をしない成鳥用メンテナンスタイプ』というもの。
キャッチフレーズは、 「固く・重く・大きく健康維持」 「羽色改善・ストレス解消・健康増進・一ヶ月で足色羽色に効果が表れます」 とあります。



桃の穀物餌からペレットへの切り替えは、 獣医さんにも驚かれるほど順調に進みました。
詳しくは長くなるので割愛しますが、幾つかの段階を踏んだのち、 桃は一ヶ月ほどでペレットを食べるものと認めるようになったのです。
なかなか苦労している飼い主さんも多いようで、
「ペレットには全く手をつけず “前のご飯をちょーだい”と見上げられると切なくて辛い」
「こんなことを続けていたら信頼関係にヒビが入るんじゃないだろうか」

そういったお話をうかがうと、 桃の場合はラッキーだったのかもしれません。
(単にアヤツの食い意地が張ってただけか?)

パクパクポリポリ 桃は、ペレットをパクパクポリポリと本当に良く食べてくれます。
ミニサイズとそれより一回り大きい俵型のスモールサイズの二種類を 混ぜて与えているのですが、どちらかというと桃は大きい方が好みらしく、 餌箱からは大抵スモールサイズの方から先になくなります。 遊び半分でくわえて持って歩くのも大きい方と決まっていて、 桃は、眉をひそめて見ている私なんかにはお構い無く、 部屋のあちこちにボロボロと粉を撒き散らしながら お行儀悪く食べているのでした。 近頃では外に出して欲しいという要求が聞き入れてもらえない時の、 あてつけ行為にも大きいペレットが使われます。 怒りながら、なんとクチバシでくわえて辺り構わずブン投げるのです。 (このあてつけ行為には他に、 餌箱の中に体全部で入り込みスゴい速さでペレットを足でかき出すという とんでもないものもある)
「コラッ!食べ物を粗末にするんじゃないの!!」
桃のイライラ発散の犠牲となり床に転がったペレットの幾つかは、 もったいないので私にフッフッされて再び餌箱へ。節約節約。


でも本当はヒマワリの方が好き けれど、穀物餌の方が断然食いつきがいい、それも事実です。
ペレットが他に何も与える必要の無い 『完全食』 だと聞いてはいても、 桃が喜ぶものを食べさせてやりたい、喜んで食べる姿を私も見たい。 そんな思いも捨て切れず、一日一回少量ですが、 おやつにヒマワリ他多種類の種子穀物がブレンドされている中型インコ用の餌を、 正確に言うとそこから麻の実を取り除いたものを与えています。 (桃を診ていただいた獣医さんのお話では、 麻の実は腸内細菌のバランスを崩すということなので)
おやつが貰えると察知した時の桃の様子は、 笑っちゃうくらいに一変、いや豹変します。
毎度毎度、与える前に 「ヒマワリ食べる?ヒマワリ?」と話し掛けていたら憶えてしまったようで、 桃は「ヒマワリ」という言葉を聞いた途端に瞳がキラリン 羽はピターッ、そしてそっくり返るほどに胸を反らしながら 元気良く首をヒュッヒュッと伸ばすという、 それはそれは生き生きとした表情になるのです。 離れた場所にいても、 私がこのキーワードを唱えるだけで ビューーーンとマッハのスピードで飛んで来るし・・・。
いやもう、やっぱり間違いなく食い意地張ってます。(^_^;



ここでひとつ気になっているのは、ペレットの説明書に
「餌の総量の5%までなら他の餌を与えても良いが、 それを超えるとせっかくペレットで得た栄養バランスが崩れてしまう」
とあること。 5%っていったいどのくらいでしょう? もしかしてほんの数粒?
だとしたらちょっと(大いに??)まずいかも・・・。
という訳で、夕方、桃にスプーン一杯のおやつを食べさせる時、 私は親に隠れてこっそり孫を呼び菓子を与えるお婆さんのような、 そんな少しばかり後ろめたい気分にかられてしまうのでした。

なんだか、気に入らないとモノに当たり散らす桃のヒステリックな性格と、 ただものでない食い気の暴露話になってしまったような そんな気がしないでもないですが・・・。
以上、桃の食べてるもののご紹介でした。おしまいおしまい。     (1998年6月記)


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